広い日本の中でも特に雄大な自然があふれる、サッポロビールの生まれ故郷、北海道。そんな超絶ビッグなスケールを味わいながら、この企画に相応しい最高の乾杯をゲットしたい! そうして選び出された、道南西部の高台に位置する丘陵地帯。辺り一面をススキが覆う荘厳かつ幻想的なこの場所で、眼下に広がる北の大地を眺めながら飲む1杯は、さぞやスペシャルに違いない。なんならドデカいセットも作って、かつてないスケールでラグジュアリーに楽しんじゃおう! なんて、相変わらず労力度外視で行われた、第10回目のSAPPORO OVER QUALITYをどうぞ。
あれ? なんで北海道に富士山が? と思いきや、こちらは北の大地のシンボル、羊蹄山。通称『蝦夷富士』なんて呼ばれるだけあって、そのフォルムは確かに富士山そっくり。そんな日本百名山にも選定される名峰を横目に、撮影の舞台へとアプローチ。完全に意表を突かれた道中の絶景に、クルーの期待も膨らむ。
現場に到着。『ススキに覆われた大丘陵地帯』という事前情報ではあるものの、場所によっては林があったり小川が流れていたりと、なかなかにワイルド。「熊とか出ないよね……」なんて怯えつつ、ベストな撮影場所を求めて右往左往するスタッフ一行。大丈夫、熊はいません。いるならとっくに現地のガイドさんが止めてるわ。
撮影場所を決めたら、恒例の搬入作業の開始。今回のルートも、ご多分に漏れず長い。けれどこれも10回目となれば、もはやタメ息を吐く者すらいない。各々無言で荷物を手に取り、延々と続いてく1本道を黙々とテクテク。幸い、気候も天候も良好だ。お陰で、心なしかいつもより楽な気がした。けどやっぱり気のせいだった。
搬入を終え改めて現場から景色を見渡してみれば、そこは驚愕の一面大パノラマ! スタッフも思わず自前のスマホでパシャリ。そしてなんと眼下に広がる街『岩内町』は、1872年にT.アンチセルが野生ホップを発見したことに端を発する、サッポロビールのルーツの地(※)だった! 偶然ってスゴい……。
※出典:サッポロビール物語
ひとしきり眺望にウットリしたら、そろそろサイトの設営を開始。と、その前に下準備。こうも草が生い茂ってちゃ、テントのひとつも立てられない。ってわけでスタッフ総出で、長く伸びたススキをカッティング。刈り取ったススキは同行姉妹企画、Kitchen by SAPPORO OVER QUALITYチームの火起こしに活用する。
下地が整ったところで、SAPPORO OVER QUALITYの大事なマスコット、巨大テントをセッティング。すると何故か、ここにきて急に風が強くなってきた! これには勝手知ったるOQクルーも四苦八苦。風を受けて大きく膨らむ巨大テントを、3人がかりで押さえつける。風の神様は気まぐれなのだ。
サイトセッティングの現場から数百メートルほど歩くと、木漏れ日が美しい林を発見。どうやらキッチンチームは、ここを撮影の舞台に選んだらしい。ちょうど良いので、勝手にハンモックを設置。だってこんなシチュエーションでハンモックに揺られながら休憩したら、絶対気持ちいいでしょ?
ハンモック設置ついでに、先ほど刈ったススキをキッチンチームにパス。「これで火起こししてね」。そう言い残して風に揺られながら休憩していると、シェフ井川氏から粋な差し入れ。ススキでススッと火を起こし、素早くホットサンドを作ってくれた! さすがBBQマスター、仕事が早い。そしてウマい。
シェフ井川氏の特製ホットサンドをいただいたところで、いよいよ今回の大物、天蓋の製作に取り掛かる。頭の中に描いた設計図に従い、用意しておいた角材を組み上げるスタッフたち。トンカントンカン、ガガガガガッ! けたたましく鳴り響く音は、まるで建築現場さながら。最後に布を掛けて完成!
天蓋が組み上がり、これでサイトセッティングもほぼ終了。と思ったが、スタッフはまだ工具を手放さない。お次はテント前にウッドデッキを作るという! そうでした、今回のテーマはラグジュアリーでした。労力を惜しまず、考え得ることはすべて挑戦する。それがチームSAPPORO OVER QUALITYのモットーでした。
お馴染みの巨大テントを取り囲む、完全手作りの天蓋とウッドデッキ。まさにオーバークオリティな外のセッティングが完成したら、今度はもちろんテントの中も整える。イメージは、『愛する2人のグラマラスキャンプ』。まさかのダブルベッドを持ち込んで、リッチな5つ星アウトドアホテルを演出する。男たちの儚い妄想がここに。
全セッティングが終了したころ、キッチンチームからのスペシャルフードも到着。天蓋の下にこれまた豪華なダイニングセットを設置し、テーブル上も贅沢にコーディネイトすれば、さぁすべての準備は整った! こんな前代未聞のプレミアムセットに相応しいヱビスビールをグラスに注ぎ、固唾を呑んで乾杯の号令を待つ。
直径5m×高さ3mの特大テントに、ほぼ同じ高さの天蓋、そしてウッドデッキ。美しく壮大な北海道の大地に負けず劣らずのスケール感で、かつてなくラグジュアリーなセッティングを作り上げた記念すべき第10回目のSAPPORO OVER QUALITY。大工さんも顔負けの肉体労働を経て辿り着いたその瞬間は、筆舌に尽くし難いほどの達成感に包まれる。楽しかったあんなこと、辛かったこんなこと……。さまざまな思い出を噛み締めながら、いざっ、乾杯っ!
幾つもの困難を乗り越えて作り上げたスペシャルセッティングで、最高の乾杯を味わう本企画。そのハードな撮影に同行したサッポロビール社員の、生の声を書き起こす連載コラム。それがSAPPORO OVER QUALITY PEOPLE。前回に続き社員M氏が体験した、リアルな現場感が語られる。
「搬入の時点から、この大量の角材は何に使うんだろうと、ずっと疑問だったんですが、アウトドアに天蓋とウッドデッキとは驚きました。しかもそれを現場で作ってしまうなんて、ちょっと僕の想像を超えていましたね。もちろん、うまくいかない瞬間もありましたけど、それもアイディアとチームワークで乗り越えてしまう。本当にこのチームは素晴らしいですよね。現場の風景もヨーロッパの牧草地のような幻想的な雰囲気で、ラグジュアリーなセッティングにピッタリだったと思います。けど、眼下に広がる街があの岩内町だと知ったときは、さすがに疑いました。『ウソでしょ? 知ってて選んだんでしょ?』って(笑)。けどそれくらい、運というか運命に、愛されている企画なんでしょうね」。