冬の白樺高原は雪深い。四方にはスキー場が点在し、週末には多くのウィンタースポーツファンが大挙する。そんな冬遊びのメッカからさらに北上した場所に、今回の舞台、長門牧場は存在する。そこは新雪の宝庫。誰にも踏み荒らされていない、真っさらな雪の丘が広がる清らかなる世界である。その得も言われぬ風景を、もっと美しく、もっと幻想的に演出しよう。そこで飲む1杯は、最ッッッ高の1杯に違いない。純白の新雪と雪灯篭をテーマに掲げたSAPPORO OVER QUALITY第4弾、開幕です!
長野県は北白樺高原、長門牧場。1月某日、一面新雪の絶景を求めてこの地にやってきた我々は、同牧場厩舎を拠点に、今回のテーマ“雪灯篭”に相応しい場所を探すためのロケハンへと出発した。足下は所により膝下まで積もる、サラっサラの粉雪。普段ならなんてことのない斜面も、この状況ではとにかくキツい……。カメラマンさん、どこまで行くの?「先生! この辺りにしておきませんか!」
ピーク時には-20℃を記録した前回のワカサギ編とまではいかずとも、この日も気温は氷点下。刺すような痛みを伴う寒さに備え、スタッフはアルピニストさながらの防寒に身を包む。怪しさ極まりないものの、これで準備は万端。と、歩き出してみると、膝下までズッポリ。こんな場所がどれだけ続くのか……。この瞬間、雪にハシャぐ男たちから笑顔が消えた。
自らの首を締めることになるというのに、性懲りもなく毎度おなじみの大荷物を携えるチームSAPPORO OVER QUALITY。今回の大物は……ド、ドラム缶!? こんなもの雪山に持ち込んで、一体何をするんですか!? 果たして我々はどこへ向かっているのか……。とにかく、これらを人力で運ばなければならない。スノーシューを装着し、いざ出発!
最ッッッ高の乾杯を手に入れるため、道なき雪原を黙々と歩くチーム一行。下見をしてきたロケハンチームから「遠い遠い」とは聞いていたものの、実際に歩いてみると、本当に遠い……。拠点からの距離は、およそ400〜500mくらい。と聞くとそうでもないが、グリップの効かないパウダースノーは恐ろしく歩きにくい。これを計3往復。早くもギブアップ寸前のスタッフが。
修行のような搬入を終えてひと息ついたら、お次はもちろん設営タイム。まずはSAPPORO OVER QUALITYのマスコットとなる巨大テントを立てるわけだが、その前に、こんもり積もった雪を排除し、地面を平らに整える。とはいえフロアサイズ直径5mにもなるメガサイズだけに、この雪掻き作業もひと苦労。はやる気持ちを抑えて、掻くべし掻くべし掻くべし!!
テント設営を終えたら、ここからはチーム制で役割分担。こちらは今回の主役、雪灯篭の作成班。作業の流れはこんな感じ。1.型となるバケツに雪を詰める。2.それを上から胴型のバケツ底でプレッシング。3.型から出して穴を掘る。簡単そうに見えるが、1,2の行程は完全なる肉体労働。担当スタッフは、滴る汗を拭いながら薄着で作業に没頭する。ちなみに気温は、依然氷点下です。
過酷な運搬、筋肉痛確定の灯籠作り。氷点下の作業だが、スタッフは全員汗だく。流石に水分補給をしなければ……。できることならビールが飲みたい。けれどそれは絶対のご法度だ。そんな時に支給されたキレートレモン エナジエ。クエン酸とビタミンCが、スタッフたちの身体中に染み渡る。待機用に用意した山岳テントの中で、暫しの小休止をとった。
ここで遂にドラム缶が登場。おもむろにドカドカと雪を放り込んでいくスタッフ。果たして何に使うのか……。土台には、井桁型に組んだ薪の櫓と焚き火台も設置。と、ここまで言えば答えはひとつ。正解は、男の憧れ五右衛門風呂でした。え? 初めからわかってたって? まぁまぁ、こんなシチュエーションでの五右衛門風呂。間違いなく最高なのでご勘弁を。
日が落ちてきた頃合いを見て、せっせと作った雪灯篭に火を灯す。その数、合計29個。オレたち頑張った……。テントまで一直線に伸びる光の行列に、思わず感慨深さを感じる瞬間。夕暮れ時のマジックタイム、空の暗いブルーと同じ色に染まる純白の雪原、そして雪灯篭が放つ優しい光。そのコントラストは、言葉を失うほど幻想的で美しい。
雪灯篭に火を灯した後は、五右衛門風呂の土台にセットした薪にも着火。シーンと静まり返る現場に、パチパチと弾ける焚き火の音が心地良い。程なくして、雪が溶けるシュワシュワという音も聞こえてきた。風呂が沸くまでもう少し。絶えず薪木を追加し続け、その時を待つ。待ってましたとばかりに暖を取る、束の間の休息時間だ。
太陽も沈み始め、また一段と厳しさを増す外気温。それならばと、今回のテント内はいつにも増して、ポっカポカに作り込んだ。アウトドアテーブルにラグを掛けた即席コタツには、地元の料理人にオーダーした特性鍋も到着。グラスにはヱビスビールを注ぎ、さぁいよいよ準備万端! 凍てつく寒さの中でパウダースノーと格闘した、長すぎる1日が今報われる!
膝下まで埋もれる深い雪の中、過去最大の大物となったドラム缶を筆頭とする大荷物を運び入れた今回のSAPPORO OVER QUALITY第4段。氷点下の気温にかじかむ手足、冷える身体。かと思えば、一転、汗が噴き出るほどのハードワーク。様々なハードルを乗り越えて作り上げたシチュエーションで、最ッッッ高の乾杯を実現! 雪灯篭の幻想的な灯りとヱビスビールの上質な味わいに、暫しの時間酔いしれた。