ディップ、アルバイトの「つながらない権利」に関する調査 -アルバイト編
ディップのディップ総合研究所とアイリッジは、15歳から49歳の男女約14,000名を対象に「コミュニケーションにまつわるアルバイトのEX(Employee Experience:従業員が企業で働く中で得られる体験のこと)に関する調査」を実施した。
夏休みは、例年学生のアルバイト活動が盛んな時期となる。人手不足やスポットワークの台頭等を背景に、掛け持ちが増え、シフトのやり取りなどアルバイト関連のコミュニケーションが活発になる中で、「つながらない権利(勤務時間外や休日に仕事上のメールや電話への対応を拒否する権利)」の深刻化が懸念される。特に、アルバイトが多く活躍する飲食業や販売業などでは個人的なSNSの業務連絡利用が常態化していることが多く、「プライベートな領域で、合意なくつながられている状況」も起きている。本調査ではこのような状況を踏まえ、つながらない権利の実態を調査した。外食ドットビズでは、アルバイト編と管理者編の2回に分けて掲載する。
■学費や貯金のため、44%の学生が夏休みにアルバイトを増やす可能性があると回答
アルバイトの掛け持ち状況に関しては、学生の31.1%(2つ24.2%/3つ5.1%/4つ以上1.8%)、学生を除くアルバイト・パート(専業主婦/主夫を含む)の16.8%(同13.1%/2.5%/1.2%)がアルバイトを2つ以上掛け持ち中であることが分かった。
また、学生に夏休みのアルバイトの予定を聞いたところ、「増やす予定がある」(23.1%)+「未定だが増やすかも」(20.9%)と、未確定の人も含めると学生の44.0%が夏休みにアルバイトを増やす可能性があると回答した。また、夏休みに増やしたいアルバイトはレギュラーバイトが69.8%、リゾートバイトなど短期バイトが47.7%、スポットワークが30.2%だった。夏休みにアルバイトを増やす理由に関しては、「自分の学費や娯楽費を稼ぐため」(56.8%)が最も多かったが、次いで「将来に備えて貯金するため」(41.9%)が続き、物価高などを受けた生活防衛意識の高まりが示された。
■アルバイト従業員の42%が個人SNSでの業務コミュニケーションを問題視
アルバイトの業務上のコミュニケーションを個人的なSNSで行うことについては、全体では、27.8%が「できるだけ分けるべき」、14.2%が「望ましくないと思う」と、4割以上(計42.0%)が問題視していることがわかった。年代別では10代が計34.0%、20代が計40.0%、30代が計48.3%、50代が計50.4%と、年代が上がるほど問題視しているようだ。
その理由として最も多かったのは、「プライベートな時間に仕事の連絡が来ることを避けたいから」(46.9%)。いわゆる「つながらない権利侵害」への不安や抵抗感を持っている人が半数近くにのぼることが明らかになった。年代別では、10代では「SNSは個人的なつながりの人のみに留めておきたいから」(42.9%)が1位で、「自分のプライベートな一面を見られることに抵抗があるから」と「プライベートな時間に仕事の連絡が来ることを避けたいから」(各39.0%)が同率2位に。時間外の連絡有無以前に個人SNSで仕事のつながりを持ちたくない傾向が浮き彫りとなった。
■多くの人が個人SNSだからこその「つながらない権利侵害への不安」を経験
実際に経験したトラブルの中では、個人SNSへ「業務時間外のメッセージが来る」(27.6%)が最も多く4割弱が経験。2位は「シフト相談などの連絡や通知の多さ」(34.2%)で、3位「本当は交換したくないけど仕方なくLINEを教えた」(33.1%)、4位「全員の前でSNS交換が始まり断れない雰囲気に」(19.5%)と意に反して仕方なく個人アカウントを教えたが続いた。
※つながらない権利:勤務時間外や休日に仕事上のメールや電話への対応を拒否する権利のこと。フランスでは2017年に法制化され、業務時間外に業務連絡することに対する労使間への合意を定めている
【コミュニケーションにまつわるアルバイトのEXに関する調査】
アルバイト向け:①就業状況・SNS見解調査②アルバイトコミュニケーション状況調査③夏休みのアルバイト調査
社員向け(管理者側):④職場状況・SNS見解調査⑤アルバイトとのコミュニケーション状況調査
対象:①15歳~49歳の現在アルバイトをしている人②①で個人SNSの業務利用を望ましくないと回答した対象7業種でアルバイトをする人③①で夏休みのアルバイトを増やす予定と回答した人
④15歳~49歳のアルバイトが中心の職場で働く社員⑤④で個人SNSの業務利用を望ましくないと回答した対象7業種での管理者
※対象業種:飲食業、販売業、製造業、物流・軽作業、接客・サービス業、レジャー・エンタメ、教育・学習支援業
調査期間:①④7月8日~7月10日②③⑤7月12日~7月16日
調査方法:インターネットリサーチ
サンプル数:アルバイト:①7,016名②656名③335名、社員:④7,679名⑤586名
記事配信・制作協力/外食ドットビズ
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