リクルート、人手不足が続く中、シニアの求職者の現状や雇用課題は
リクルートは、「シニア層の就業実態・意識調査2023」の個人編や企業編(出典:ジョブズリサーチセンター)などのデータをまとめ、シニアの求職者の現状や雇用課題について発表した。
人口構造の変化、少子高齢化による労働力人口の減少から人材不足の状況は深刻になってくることが予想されており、シニアが少しでも長く、そして無理なく働き続けられるような働き方が注目されている(出典:リクルートワークス研究所)。65歳以上人口の年齢別割合の推移を見ると、20年間でより高齢層の割合が増えていることが分かる。80歳以上の割合は、2003年の23.2%から2023年には34.8%へと増加。一方で、65~69歳は30.5%から20.2%へと減少している (出典:総務省「人口推計」)。
■長く働きたいシニアの意向と企業側のシニア層採用の実態
改正高年齢者雇用安定法により70歳までの就業機会を確保するため、定年引き上げなどの努力義務が新設されたが、「シニア層の就業実態・意識調査2023」において、現在働いている又は現在働いていないが働く意欲・可能性があるシニアに何歳くらいまで働きたいと思うかを聞くと、すでに70歳以降も働きたいと回答している人が75%以上いることが分かった。また、5歳刻みで見ると70~74歳が34.6%で最多だった。調査時点で70~74歳のシニアは男女ともに75~79歳まで働きたい人が6割以上、男性では80歳以降も働きたい方が2割以上いる。このことからも「まだまだ働ける、働きたい」と感じているシニアが多いことが分かる。
しかし、同調査では5年以内に仕事探しをして仕事が見つかった人の4割以上が「年齢の制限が低い/幅がせまい」、4割近くが「給料が安い」と感じていることも分かった。
一方で、企業側にシニア層採用への積極性を聞いたところ、積極的な企業は約3割にとどまり、また、積極的ではない企業にその理由を聞くと、「特に理由はない」がいずれの雇用形態でも3割を超え、採用イメージがないことも要因になっていると考えられる。 2025年4月から義務化される「65歳までの雇用確保」の経過措置期間は2025年3月31日に終了し、2025年4月1日以降企業は希望者全員に65歳まで雇用機会を確保しなければならない。このような状況の中、企業もさまざまな取り組みを開始してきたが、シニア層の採用意欲は十分とはまだ言い難い状況だ。長く働きたいシニアが多くいる中で、企業がそのシニアの活躍の場を用意することは人材不足解消の一手になるのではないだろうか。
■シニアにモチベーション高く働いてもらうことは企業の成長にもつながる
ジョブズリサーチセンター長の宇佐川邦子氏は、『深刻な人手不足が続く中、シニアが活躍できる場が徐々に広がりつつあります。しかしながら、その活躍の場は依然として十分とは言えない状況です。一方で、シニアのスキルを正しく理解し、成果を可視化、適切な評価やフィードバックを行う企業では、シニアが高いモチベーションを持って働き、活躍することで、企業の成長に寄与している事例が出始めています。
企業は、すぐにでもシニアの採用、活躍支援を進めることが重要です。また、シニアの状況が多様であることを理解し、個々の状況に寄り添った対応、長く活躍できる労働条件や環境を整えることが求められます。例えば、シニアは短時間や限られた日数での勤務を希望する方が多いことも分かっています。業務を細分化し、小口の仕事を提供することは、シニアが長期にわたり活躍するための一歩となるのではないでしょうか。』とコメントした。
記事配信・制作協力/外食ドットビズ
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