サッカー王国しずおかに、笑顔を広げる。

インタビュー 静岡が好きだから インタビューvol.05 藤枝・青島東FC(小学生)コーチ 渡辺裕之さん

サッカーのまち藤枝で生まれ育ち、現在、働きながら青島東FCのコーチを務めている渡邊裕之さん。小学・中学・高校でボールを蹴り合っていた仲間には、サッカー日本代表のキャプテンの長谷部誠選手がいます。渡邊さんの指導を受け、汗をかき、転びながらボールを追いかける子どもたちの中から、第二の長谷部選手が生まれるかもしれません。

― 子どもの頃の夢や想い出をお聞かせください

僕が小学校5、6年生の頃にJリーグが発足したこともあり、小学校の卒業文集に書いた将来の夢は「サッカー選手になりたい!」。あの頃は、毎日サッカーばかりしていて他のことは考えられませんでした。青島東サッカースポーツ少年団(現、青島東FC)で週3~5日練習試合があり、練習がない日も同学年16名が集まって、公園などでサッカーをしていましたね。もちろん、その中には(長谷部)誠もいました。

― サッカー王国しずおかと呼ばれる地域性についてお聞かせください

まず、静岡県の学校、公園のグラウンドが広い。東京の街中にある小学校のグラウンドは狭く、ゴム貼りで、サッカーなんかできません。それと、やはりサッカーをやっている人も見る人も圧倒的に多いです。Jリーグを含め、全カテゴリーに静岡県のチームが入っています。高校サッカーでも強豪校には私設応援団がいて、平日でも近所のおじさんが練習を見に来るのが普通です。こんなにサッカーに熱い地域は、他にはないと思いますよ。

― 少年サッカー指導者の魅力についてお聞かせください

実家の会社に入ることを決めて、東京から藤枝に戻ってきた5年ほど前に、青島東SSSの代表に「小学生のコーチをしないか」と誘われました。その代表は、僕が小学生のころ教わったコーチだったんです。

教えてみるとこれが大変でした。僕たちの頃は、怒鳴られながら厳しく育てられたのが、今はやさしくが基本、指導の仕方がまるで違います。それと、自分が頭でイメージしていることを子どもたちにわかりやすく伝えるのが難しい。彼らは、別のことを教えると前のことは忘れてしまうので、同じことを根気よく言いつづける必要があります。

でも、やればやっただけ上手くなります。結果もついてきますし、結果が出れば子どもたちは笑顔になる。その子どもたちを見て、親御さんや関係する大人たちにも笑顔が広がるのでやりがいを感じます。

― サッカーを通じて子どもたちに伝えたいことはなんですか

挨拶はもちろん、社会性の基礎ですね。誠を見ればわかるでしょう。このチームで育ったから、社会に出ても立派なリーダーになれることを伝えていきたい。社会に出れば辛いことは、いっぱいあります。そんなとき、逃げずに我慢して立ち向かう強さを、サッカーを通して学んでほしい。僕も、サッカーをやっていたから乗りこえられた経験が何度もあります。

子どもたちにも、大人になってからサッカーをやってよかったと思ってもらいたい。そのときに僕の顔を思い出してもらえたら最高です。