帝国データバンク、2024年12月の全国企業倒産について集計・分析
帝国データバンクは、2024年12月の企業倒産件数(負債1000万円以上の法的整理が対象)について集計し、分析を行った。倒産件数は848件(前年同月比5.2%増)と、32ヶ月連続で前年同月を上回り、連続増加期間は1990年10月~1993年4月の31ヶ月を超えて過去最長となった。また、負債総額は2100億7600万円(同107.0%増)と、負債50億円超の大型倒産が複数発生し、2024年で2番目に大きい額となった。
■7業種中4業種で前年同月を上回る、「飲食店」の増加が押し上げた「小売業」は28ヶ月連続増に
業種別にみると、7業種中4業種で前年同月を上回った。「サービス業」(前年同月比220件→215件)が最も多く、「小売業」(同163件→186件)、「建設業」(同161件→161件)が続いた。「小売業」は28ヶ月連続で前年同月を上回った一方、「サービス業」は2022年2月以来、34ヶ月ぶりに前年同月を下回った。
業種を細かくみると、人手不足が続く「建設業」では、「職別工事」(同68件→80件)の増加が目立った。「小売業」では「飲食店」(同65件→78件)の増加が全体の件数を押し上げた。
■「不況型倒産」は710件、32ヶ月連続で前年同月を上回る
主因別にみると、「販売不振」(同634件→699件)が最も多く、全体の82.4%を占めた。「売掛金回収難」(同3件→4件)や「業界不振」(同3件→5件)などを含めた「不況型倒産」の合計(同641件→710件)は32ヶ月連続で前年同月を上回った。
粉飾決算やコンプライアンス違反などの「放漫経営」(同11件→16件)は3ヶ月連続で前年同月を上回った一方、「経営者の病気、死亡」(同26件→21件)は2ヶ月連続で前年同月を下回った。
■「清算型」倒産は824件、全体の97.2%を占める
倒産態様別にみると、「清算型」倒産の合計は824件(前年同月787件)となり、全体の97.2%を占めた。「再生型」倒産は24件(同19件)発生し2ヶ月連続で前年同月を上回った。「清算型」では、「破産」が798件(同752件)で最も多く、4ヶ月連続で前年同月を上回った一方、「特別清算」は26件(同35件)と6ヶ月ぶりに前年同月を下回った。「再生型」では、「民事再生法」が24件(同18件)発生し、個人が19件、法人で5件発生した。
■負債額「5000万円未満」が最多 中小零細企業が多数を占める
負債額規模別にみると、「5000万円未満」が511件(前年同月505件)で最多、「1億円以上5億円未満」が168件(同155件)で続いた。中小零細企業の倒産が目立つ一方、「50億円以上100億円未満」が5件(同1件)と、前年同月を上回った。
■業歴10年未満の「新興企業」は262件、15ヶ月連続で200件超
業歴別にみると、「30年以上」が267件(前年同月256件)で最も多く、全体の31.5%を占めた。このうち、老舗企業(業歴100年以上)の倒産は8件(同14件)発生した。業歴10年未満の「新興企業」は262件(同255件)と15ヶ月連続で200件を上回った。内訳を業種別にみると、「サービス業」が85件(同89件)で最も多く、68件の「小売業」(同51件)、52件の「建設業」(同48件)が続いた。
■9地域中6地域で前年同月を上回る、「近畿」は27ヶ月連続で前年同月を上回る
地域別にみると、9地域中6地域で前年同月を上回った。最も件数が多かったのは、283件の「関東」(前年同月270件)で、147件の「東京」(同134件)や17件の「茨城」(同7件)の増加が件数を押し上げた。231件だった「近畿」(同204件)は、27ヶ月連続で前年同月を上回った。最も増加率が高かったのは23件となった「四国」(同16件)で、12月としては2008年(21件)以来16年ぶりに20件を超えた。34件だった「北陸」(同25件)は2ヶ月連続で前年同月比30%を超えた。一方、15件だった「北海道」(同32件)は50%超えの大幅減となった。
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