帝国データバンク、2024年10月の「カレーライス物価指数」を調査・分析
帝国データバンクは、生鮮食品などの値上げを加味した食卓への影響度を示す「カレーライス物価指数」を独自に試算し分析を行った。これは、総務省「小売物価統計」から、カレーライスの具材となるじゃがいもなどの材料や、電気・ガス代など水道光熱費の全国平均価格を基に、それぞれの分量や各調理工程の分あたりエネルギー使用量を配分し算出したもの。
家庭の食卓で人気のメニュー「カレーライス」の調理費用で、過去最高値を更新する値上がり局面が続いている。カレーの調理に必要な原材料や光熱費などの価格(全国平均)を基に算出した、カレーライス1食当たりのトータルコストを示す「カレーライス物価」は、今年10月に371円となった。11月調査時点における予想値(380円)は下回ったものの、370円を突破したのは過去10年で初めてとなったほか、1年前の2023年10月(308円)から63円の大幅増となり、7ヶ月連続で最高値を更新した。コメ価格高騰の影響を受けた「ライス」の値上がりが、野菜類を中心とした「カレー具材」の値下がり効果を打ち消す形で、カレーライス物価は上昇基調で推移した。
カレーライス物価を構成する費用の内訳をみると、最も費用が高いのが全体の約6割を占める「カレー具材(肉・野菜)」で、前年同月から13円増の201円だった。輸入牛肉の価格は円安を背景に上昇が続いたものの、ジャガイモ・ニンジン・タマネギ(野菜類)の価格がいずれも年内のピーク時から大幅な値下がりが続き、3ヶ月連続で前月を下回った。他方で、「ごはん(ライス)」価格は142円と前年同月(91円)から51円の大幅増だった。足元のコメ価格高騰を背景に、前年同月からの金額増加幅は拡大傾向にあり、10月単月のカレーライス物価を大幅に押し上げた主要因となった。炊飯器での炊飯やガス調理などの「水道光熱費」(4円)、「カレールー」(25円)は価格の変動がなかった。
カレーライス物価を基に、2020年平均を100とした独自算出の「カレーライス物価指数」をみると、今年10月の指数は135.6となり、5年間で3割を超える上昇率となった。同指数の前年同月比では20.5%上昇し、17ヶ月連続のプラスとなった。伸び率が20%台となるのは過去10年で初めて。
東京都区部の物価動向を基に予想した11月のカレーライス物価は、1食380円に到達する可能性がある。野菜類では、全般的に価格が落ち着きつつあり、「カレー具材」は今年4月以来7ヶ月ぶりに1食200円を下回る可能性が高い。他方で、足元ではコメ価格が、2024年産(新米)を中心に店頭価格ベースで値上がりの勢いに衰えがみられず、1食150円台への到達も予想され、全体では野菜類の値下げ効果を打ち消す形で強い価格上昇圧力が継続するとみられる。また、電気・ガス代の反転上昇もみられ、カレーライス物価の押し上げ要因となる可能性もある。カレーライス物価は、年末年始にかけて大幅な高値圏での推移が予想される。
※調理シーンは「6食分(市販のカレールー1/2パック)をまとめて調理した」ものとした
※原材料:ニンジン・ジャガイモ・タマネギ・牛肉(輸入)・コメ(コシヒカリ1食200g換算)・カレールー(市販)・食用油
※エネルギー:電気(炊飯器での調理/約7合分の炊飯+6時間の保温を加味)・ガス(強火・中火・弱火の各調理手順)、水道水(上水道分のみ、下水道使用料は除く/食材・食器類の洗浄にかかる水量は考慮していない)
記事配信・制作協力/外食ドットビズ
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