
ヱビスは誰よりもビールの無限の可能性を信じ、ビールづくりをたのしみながら130年にわたって挑戦を続けてきました。2025年2月には〈さぁ、いい顔でいきましょう。〉というメッセージを掲げた新CMをスタート。このCM放映と併せて、特別インタビュー連載 「#いい顔の人たち」をスタートします。
Vol.3では、アーティストの清川あさみさんが登場。写真に糸で刺繍を施す代表的な手法のほかに、雑誌や本、布やキャンバスなどミクストメディアによる多様な表現を行う清川さんは、デジタル時代に生きる人々が抱える内面と外面の間に生じるギャップや矛盾をテーマに、独創的なアート作品を続々と発表されています。そんな清川さんに、新しいものを生み出していくときのマインドや、そのたのしみ方などを聞いていきます。
80~90年代のファッションや音楽に影響を受け、自身の個性の表現を模索した。
- 清川さんは雑誌の読者モデルとして注目を集めたあとに、アーティスト活動を本格化していきます。アーティストになるきっかけ、また、今現在のアイデンティティ確立されるきっかけとなったできごとや影響があったのでしょうか。
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80年代から90年代にかけてのカルチャー、川久保怜さんやレディオヘッドといったファッションや音楽、さらにはゲルハルト・リヒターの絵画との出会いなどが私の表現活動に大きな影響を与えました。自由で自己流な表現、ストリートカルチャーが主流だった時代において「個性をどう表現するか」を模索した経験が、私のアーティストとしての原点です。また、故郷の自然とのつながりは、私の作品の深層にあるテーマやアイデンティティの核を形成する重要な要素です。
日常の中の些細な気づきや矛盾を作品へ昇華させていく

- 作品ではファッションと自己表現の可能性をテーマにされ、写真や雑誌、本や布に刺繍を施す独自の手法や、ヴァーチャルモデルとのコラボレーション、デジタル技術、伝統的な手法の融合など、これまでにない新しさを常に感じます。この創造的なアイデアへのモチベーションや源泉はどんなところにあるのでしょうか。
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私のアイデアの多くは、日常の中の些細な気づきや矛盾、異文化との出会い、自然との対話から生まれます。また、伝統技術と新しいテクノロジーを融合させることで、時代性と普遍性の両方を持つ作品を追求しています。
モチベーションの源は、自分の表現が誰かの心に響いた瞬間や、新しい挑戦によって達成感を得たときです。「まだ見ぬ世界」を形にする過程そのものが私を前に進む力となっています。写真に刺繍を施すという手法は、「刺繍」が持つ視覚化の力を最大限に活かすためのものです。写真という物質的なものと糸と針という感情的なもの、現実と想像が交錯する場所を表現するには、この方法が最適だと感じました。
また、1つの素材やメディアでは伝えきれない「重層的な物語」を描きたいという想いが、こうした多様なビジュアル表現になったきっかけです。What is my presence?
2023
Mixed Media
1782×1292×38mm(Framed)
photo:Courtesy of the artist and MAKI GallerySerendipity(Realm)
2024
Mixed Media
1375×1375×35mm(Framed)
photo:Courtesy of the artist and MAKI Gallery
変わり続ける社会の中で制作手法もアップデート。目に見えないイメージが形になる喜び。
- 写真や本に刺繍をされる手法も、時を追うごとにアップデートをされているとおっしゃっていましたが、常にアップデートをすることについての必要性や、創作活動のなかでたのしいと思う瞬間についてお伺いできますか。
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アップデートとは、自己の成長を止めないために欠かせないプロセスだと考えています。時代や社会の変化に伴い、表現者としてどのように向き合うべきかを問い続けることが大切と思っています。新しい技術や素材に挑戦することは、作品の進化だけでなく、自分自身をアップデートすることでもあります。
作品の細部を仕上げているときや、目に見えないイメージが現実として形になった瞬間にたのしさを感じます。また、新しい表現手法を試しているときには、未知への期待と好奇心が交差してとても刺激的でたのしい時間を過ごせます。
時間の積み重ねを感じられるヱビスと共に。見る人のこころが自由になるようなアートを届けたい。

- ヱビスビールの魅力が感じらるところや、お酒を飲むときに大切にしていること、こだわりなどを教えてください。
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繊細さの中に時間や素材の豊かさを感じられるところがヱビスビールの魅力です。全てが丁寧につくられていることで、味わいの中に時間の積み重ねを感じられるところが特に好きです。ビールを飲むことは、じっくりと考えたいときや、大切な人たちと語り合う時間にぴったりだと感じています。
- これから清川さんはどのようなことにチャレンジされていくのでしょうか?
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これからも様々なアート、クリエイティブを通して、今という時代や人と人をつなぐ作品を生み出していきたいと考えています。『多様性の中にある美しさ」を世界に届け、見る人の心が自由になるきっかけを作ることを目指しています。そして、未来の世代に希望を届けられるような表現を続けていきたいです。
美術家
清川あさみ(きよかわあさみ)
美術家。1979年9月15日生まれ兵庫県出身。
2001年初個展、2003年より写真に刺繍を施す独自の表現を開始。デジタル時代に生きる人々が抱える内面と外面の間に生じるギャップや矛盾をテーマに、繊細な刺繍と写真を融合させることで、現実と神話、目に見えるものと見えないものの境界線上にある独創的なアート作品を発表している。
伝統的な手法とデジタル技術を融合させ、ヴァーチャルモデルとのコラボレーションなどでも注目を集める。代表作「美女採集」「TOKYO MONSTER」で知られ、国内外の個展やアートフェアにも参加。
広告映像空間デザインなどのクリエイティブ分野でも活躍し、NHK「大奥」のメインビジュアルのディレクションやYOASOBIのMV監督を務めるなど、多方面で高い評価を得ている。さらに、絵本制作や地方創生事業においても伝統芸能や地域活性化に貢献。2022年からは大阪芸術大学客員教授として後進の育成にも尽力している。2023年には虎ノ門ヒルズ駅に設置された大型パブリックアート「Our New World」の制作監修を担当し話題に。2025年3月29日(土)まで天王洲のMAKI Galleryにて個展が開催されている。
