ニュースリリース

気候変動への耐性とビールの旨さ長持ちを両立!
ビール産業の持続的な発展に貢献する 次世代大麦を新たに開発

140年以上の原料研究開発の歴史と技術から生み出した新たな大麦

2024.05.20

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サッポロビール(株)は、気候変動による降雨量増加への耐性と、ビールのおいしさを長持ちさせる性質を併せ持つビール醸造用の大麦を新たに開発しました。

この大麦は、2022年に世界で初めて(注1)開発した気候変動にともなう降雨量増加への耐性と麦芽成分のバランスを向上させる性質を併せ持つ大麦と、現在「サッポロ生ビール黒ラベル」でも一部使用している旨さ長持ち麦芽 (注2) の原料となる「LOXレス大麦」(注2)を交配したことにより、新たに生まれた大麦です。気候変動への耐性という環境面とビールの旨さという品質面の2つの持続可能な特性を兼ね備えた、いわば次世代の大麦です。

近年、地球温暖化による気候変動の影響で、農産物の品質の低下や収穫量の減少などが懸念されています。(注3)当社の気候変動シナリオ分析(注4)では、地球温暖化で将来のビール原料の価格が高騰すると見ており、2100年時点で平均気温上昇が4℃以上となる想定の場合、ビール主要原料の大麦の当社年間調達額は2030年には約2億円、2050年には約5億円増加すると予想しています。

この新たに開発した大麦は、いずれも当社が開発した2つの大麦を交配した大麦です。1つ目は、2022年に世界で初めて(注1)開発した「N68-411」大麦で、収穫時期の長雨により発生する穂発芽(注5)への耐性を持ち、ビールの製造工程でも加工しやすい性質があります。2つ目は、「旨さ長持ち麦芽」の原料となる、ビールの風味を劣化させる成分(LOX-1<ロックスワン>:脂質酸化酵素)を持たない「LOXレス」大麦(注2)で、香味耐久性と泡持ちを向上させ、ビールのおいしさを維持することができる性質を持っています。

また、当社の主力商品「サッポロ生ビール黒ラベル」にこの新たに開発した大麦を使用して試験醸造したところ、検査員の評価において従来の「サッポロ生ビール黒ラベル」との味覚的な類似性が高いと判定され、製品としての実用化にむけた障壁の低さが示されました。今後は、さらなる品質の向上と収量の安定化を図るとともに、育種パートナーとの連携により2030年までに新品種の登録出願を目指し、お客様に新しい楽しさ・豊かさを発見していただけるモノ造りを進め、次世代のビールづくりに貢献していきます。

サッポログループは、サステナビリティ方針「大地と、ともに、原点から、笑顔づくりを。」のもとに、サステナビリティ重点課題に対する目標達成に向けて取り組みを進め、「持続可能な社会の実現」と「グループの持続的な成長」の両立を目指します。

(注1)当社調べ。https://www.sapporobeer.jp/news_release/0000014784/
(注2)https://www.sapporoholdings.jp/research/topics/lox/ 
(注3)https://www.maff.go.jp/j/kanbo/kankyo/seisaku/ondanka.pdf 
(注4)国際連合食糧農業機関(FAO)のシナリオ分析データなどを参考。
https://www.sapporoholdings.jp/sustainability/environment/nature/climate/ 
(注5)降雨により、収穫前の種子が穂に実った状態のまま畑で発芽してしまう現象。気候変動による異常気象の一例として長雨が考えられる。

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