2019年 サッポロビール 事業方針
~ビール強化のさらなる推進~
サッポロビール(株)は、中期経営計画のもと、ビールを中心に事業を強化し、変化をチャンスと捉え、スピードをもって各事業の成長に取り組んでいきます。
Ⅰ.2018年の振り返り
1. ビールテイスト事業について
昨年は一貫して取り組んできた「ビール強化」をスローガンに掲げ、その軸である「サッポロ生ビール黒ラベル」は好調に推移し、4年連続で前年の売上げを超えました。またプレミアム市場が厳しい中「ヱビスビール」の缶も健闘しました。しかし、ビールテイスト市場からRTD市場への流出や業務用市場におけるリターナブル容器商品の価格改定、夏以降に各地で発生した自然災害などによる消費冷え込みの影響が大きく、全体では厳しい結果となりました。
サッポロビールとして昨年から始動した輸出事業では、中国への再進出を果たすなど、グローバル展開の推進にむけた新たな挑戦を進めました。
2.ワイン・RTD・スピリッツ(洋酒・和酒)事業について
ワイン事業は「ビールに次ぐ『第2の柱』へ」のスローガンのもと、ファインワイン「テタンジェ」「ペンフォールズ」が順調に成長しています。国内では良質な原料ぶどうの確保と、日本ワイン「グランポレール」のさらなるブランド力向上のため、昨年6月に「グランポレール北海道北斗ヴィンヤード」(25.4ha)を開園しました。これにより、当社の自社畑の面積は、既存の安曇野池田ヴィンヤード(12.6ha)、長野古里ぶどう園(3ha)と合わせ合計41haになりました。
RTD事業では、事業全体で前年比177%を達成しました。新ブランドの「りらくす」「99.99<フォーナイン>」を投入し、事業成長を加速させました。「99.99<フォーナイン>」は当社RTD史上最速で年間販売目標の200万ケースを11月末に達成しました。
スピリッツ事業では、バカルディブランドのスコッチウイスキー「デュワーズ」が好調に推移し、日本市場のスコッチウイスキーブランドで販売数量第3位に成長しました(注1)。和酒は、甲乙混和芋焼酎売上No.1(注2)ブランド「こくいも」の好調に加え、梅酒カテゴリーでは「3種のポリフェノール入り赤梅酒」が紙パック市場で存在感を示し、ダウントレンドの市況下でも順調な伸び(注3)を示しています。
(注1)インテージSRI調べ スコッチウイスキーブランド別販売数量 2017.10~2018.9
(注2)インテージSRI調べ 甲乙混和芋焼酎市場 累計販売金額全国SM/CVS/酒DSの合計 2013.9~2018.8
(注3)インテージSRI調べ 推計販売規模金額 紙パックのみ 2013.9~2018.8
Ⅱ.2019年 事業方針
本年は「ビール再強化宣言」を事業方針に掲げ、さらなるビールブランドの強化と、当社独自の新価値提案を推進していきます。
1.ビールテイスト事業について
本年のビールテイスト総需要は、飲酒人口の減少とRTD等他酒類への流出による厳しい市場環境が続き、10月の消費税増税も個人消費の足かせとなる可能性があり、99%弱になると推測しています。
当社は、「ビール再強化宣言」のもと、黒ラベルの継続的伸長と2020年に130周年を迎えるヱビスブランドのスケールアップを中心に、ビール強化の流れをさらに強力に推し進めます。また、新たな商品やサービスの提案を通して、幅広く新しいビールの楽しさも提案していきます。
2017年に立ち上げたクラフト事業のブランド「Innovative Brewer(イノベ―ティブ ブリュワー)」は、昨年に増強したミニブルワリー等も活用して、個性的な商品の展開と全国的な販売を行うため、本年からジャパンプレミアムブリュー(株)(注4)に替わり当社が販売を担い、ブランド育成を図ります。
(注4)サッポロビール(株)の100%子会社
(1)ビール
「サッポロ生ビール黒ラベル」
本年も、「大人の★生」の独自な世界観訴求を強化し、お客様に「完璧な生ビールを実感・体験」していただくことに注力します。
4月1日「黒ラベルの日」に向けて、中味をリニューアルし、より完璧な生ビールへと進化します。生ビールの重要な要素である「泡」を、より白く美しくするため、原料・製法・お客様の口に届くまでの徹底した品質管理に加え、製造方法をさらに工夫し、「白く美しい泡」を実現しました。
本年も「THE PERFECT DAYS」「THE PERFECT STAR WAGON」など、完璧な生ビール体験イベントを全国の主要都市で積極展開します。家庭用では、黒ラベルの日、七夕等、成功しているプロモーションをブラッシュアップし、独自の機会を増加させます。業務用では、ブランド接点を拡大する為、パーフェクト黒ラベル取扱店の拡大と同店への誘引策を展開します。
「ヱビス」
本年のヱビスは、ニッポンだからこそ感じられるさまざまな「幸せ」にフォーカスします。また提供品質にも徹底的にこだわることで、ヱビスブランドの「本物・本格」イメージを強化し、2020年のヱビスビール発売130周年に向け、日本を代表するビールとして「ニッポンの幸せ」に貢献するブランドへのスケールアップを図ります。
さらに、新たなヱビスファン獲得を目指し、「ヱビス プレミアムエール」を通年発売します。ヱビスビールと並ぶ商品として新しいプレミアムビールの味わいを提案します。
業務用では、ヱビスの特長である「コク」を今まで以上に楽しんでいただくため、新ジョッキ・タンブラーを導入します。また、飲食店向けには樽生提供品質の啓発活動を強化してお客様への提供品質向上による需要拡大を図ります。
また、昨年に引き続き、日本ミシュランタイヤとの「ミシュランガイド東京、京都・大阪2019」におけるオフィシャルパートナー契約を活かし、「食」がもたらす「ニッポンの幸せ」にも貢献していきます。
「サッポロラガービール」
こだわりのあるファンからの根強い支持を受け、びん商品が7年連続で前年実績を超えました。レトロ感が人気を博し、取扱店の増加も売上伸長の大きな要因となっています。引き続き、さらなる認知・飲用経験の拡大を狙います。
「サッポロ クラシック」
地域限定ビールの先駆けとして1985年に北海道限定で発売し、着実にファンを増やし、18年連続の売上増を達成しました。北海道を愛する人が北海道で一番愛するメジャービールというポジションの確立を目指し、北海道の四季と連動した施策などを展開し、この勢いをますます加速していきます。
(2)新ジャンル
「サッポロ 麦とホップ」
昨年12月中旬製造分から順次切替にてリニューアルしました。長年培った醸造技術を駆使し、丁寧な温度や時間管理によって麦のうまみを10%アップし、麦とホップ史上最高の一口目(注5)を実現しました。3月には、限定商品「サッポロ 麦とホップ 本熟」を発売し、麦とホップブランド全体を盛り上げていきます。
(注5)麦とホップ(通年販売品)史上最高の麦のうまみを実現したことによる。
「サッポロ 本格辛口」
新ブランドとして4月2日に全国発売します。新ジャンル史上最強炭酸(注6)で実現した、本気の辛口です。氷点下熟成製法で仕上げた爽快な旨さ、かつてない研ぎ澄まされた飲みごたえの商品です。
(注6)当社ビールテイストの「リキュール(発泡性)①」または「その他の醸造酒(発泡性)①」において
(3)発泡酒
「サッポロ 極ZERO」
季節に応じた飲用機会の創出で「既存ユーザーとのさらなる絆の強化」と「機能系エントリーユーザーの獲得」を図ります。「ビールが飲みたい!でもカラダも気になる…」というターゲットの悩みを季節ごとに捉え、この商品の飲用を促進します。
(4)ノンアルコールビールテイスト飲料
「サッポロ 麦のくつろぎ」
昨年発売したこの商品は、自然なおいしさを追求し、フルーティーな香りと心地よい麦の味わいを実現しました。既存ユーザーとのさらなる絆の強化により、ユーザーを囲い込むことで安定的な売り上げを目指します。
(5)クラフト事業
これまで行ってきた新たな取り組み(希少原料商品提案、新ビール定義に基づいた個性豊かな商品提案、インターネット限定販売等)の経験を踏まえ、通年型のフラッグシップ商品を立ち上げ、「Innovative Brewer(イノベ―ティブ ブリュワー)」ブランドを「That’s HOP!」と「That’s WOW!」の2つの軸で展開します。
・That’s HOP!:ホップにフォーカスしたフレーバーホップビール
・That’s WOW!:ビールの楽しさや驚きを提案するビール
「高付加価値」を基本とし、新しいビールビジネスへのチャレンジを行いながら、ビール文化創造へと結びつくような商品提案を行っていきます。
2.ワイン・RTD・スピリッツ事業について
(1)ワイン事業
ビール事業に次ぐ「第2の柱」と位置付けるワイン事業は、市場の追い風を捉え、新たな価値提案と飲用機会の提供を積極的に行っていきます。
昨年開園した「北海道北斗ヴィンヤード」では、2022年に予定しているファーストヴィンテージの発売に向けて本年春に苗木植付けを開始します。日本ワイン「グランポレール」は「GRANDE POLAIRE WINEBAR TOKYO」を活用したイベント、試飲会およびセミナーの開催など、お客様接点拡大のために情報発信を強化することでブランド力の向上を図ります。
シャンパーニュ「テタンジェ」や「ペンフォールズ」「マルケス・デ・リスカル」などのファインワインブランドは、認知・価値向上のため、ブランド体験機会の提供、贈答需要を喚起する取り組み強化をはじめ、積極的な展開を継続してブランドイメージの構築を図ります。
デイリーワインは、当社取り扱いワインの認知とユーザーの裾野拡大を図り、業務用チャネル限定商品の発売を予定しています。
(2)RTD事業
成長著しいRTD事業はさらなる成長を目指し、新鮮で驚きのあるオンリーワン商品を創出していきます。
「驚きをカタチに」をスローガンに「男梅サワー」「愛のスコールホワイトサワー」「キレートレモンサワー」など、コラボレーションによる独自価値を強化すると同時に、同事業の柱となるブランドに成長した「99.99<フォーナイン>」をさらに強化し、顧客のニーズにマッチした需要を開拓し、新たな切り口の商品も展開します。
(3)スピリッツ事業
スピリッツ事業は「お客様にスピリッツの変幻自在な楽しさ」をテーマに、和酒は蒸留酒・リキュールの魅力をさまざまな形で提案し、洋酒はワールドマーケットでのブランド力を活かしてお客様に新しいお酒の楽しみ方を提案していきます。
和酒は、好調な甲乙混和芋焼酎「こくいも」のNo.1(注2)価値をさらに高め、簡単で開けやすい新キャップ(注7)を混和焼酎で初めて(注8)採用し、情報発信を継続して話題喚起を図ります。本格焼酎は「和ら麦」の特長であるフルーティーな香りを活かした新たな飲み方「和ろまスタイル(注9)」を提案し、飲用機会のさらなる拡大を目指します。
洋酒は、引き続きバカルディ ジャパン社との連携を強化し、世界販売金額No.1(注10)ラム「バカルディ」をはじめ「デュワーズ」「ボンベイ・サファイア」「マルティーニ」に注力します。
(注7)キャップを回すだけで開栓できる、中栓不要のキャップ
(注8)当社調べ
(注9)和ら麦+アロマの造語。和ら麦を専用グラスに注ぎ、ワインのように香りを楽しむ新しい飲用スタイル
(注10)2017年IWSR調べ。世界販売金額No.1ラム「バカルディ」
<2018年実績及び2019年計画>
※ 添付のPDFファイルをご参照ください。
3.オンリーワンの取り組み
(1)HOPPIN’GARAGE
一個人の「好き」や、そこから生まれる「繋がり・共感」が新たな市場を生み出す潮流を踏まえ、食べることが好きな人とつながる食コミュニティを運営する(株)キッチハイク(注11)と業務提携し、CtoCコミュニティを活用した新たなサービスを開始しました。お客様から募った斬新なアイデアをもとに極小ロットでビールをつくり、ユーザーイノベーションから生まれたビールブランドとして世に送り出していきます。本サービスを起点にお客様にもっと近づくことで、当社の商品開発力やコミュニケーション力の強化に繋げ、企業価値の向上を目指していきます。
(注11)食べることが好きな人をつなぐコミュニティサイト「KitchHike(キッチハイク)」の運営会社。みんなでごはんを食べる場、食をきっかけにつながる機会、新しいコミュニケーションの形を提供。
(2)フォトビー
お客様だけのオリジナルラベルビールをオーダーできるサービスです。父の日など、歳時需要の取り込みと、ペットやブライダルなど新たな市場開拓により、昨年は売上数量前年比132%となりました。
お客様の飲用・贈答シーンに寄り添い、通常のビール系飲料では充足しきれていない新規需要を開拓し、価値提供を行っていきます。
(3)日本ビール検定(愛称「びあけん」)
「一般社団法人 日本ビール文化研究会」が主催する「びあけん」では、さまざまなビールの歴史・製法・原料・種類などの基礎から、おいしく飲むための方法・うんちくなどを学んでいただけます。検定は3級から1級まであり、ビールを幅広く知りたい方からより専門的に勉強したい方まで、20歳以上のビール好きの方であればどなたでも受検できます。
これまで、累計で約24‚000名が受検、約13‚000名の合格者を輩出し、今秋も全国5都市で開催を予定しています。
当社は「一般社団法人 日本ビール文化研究会」とともに「びあけん」を通して、日本のビール文化の発展、普及に貢献していきます。
4. 国際事業
本年1月1日にサッポロインターナショナル(株)のベトナム事業を当社に移管しました。
韓国への「ヱビスビール」の輸出や中国市場への本格参入に加え、ベトナム事業の強化を推進し、日本とアジアパシフィック一体で酒類事業のグローバル推進に注力します。また、本年春には欧州に現地法人設立を予定しており、欧州での積極的営業体制を整備することで、欧州におけるブランドプレゼンスの向上を図ります。
以上
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