帝国データバンク、「喫茶店」の倒産が急増!「喫茶店」の倒産動向を発表
帝国データバンクは、「喫茶店 ( カフェ ) 」の倒産発生状況について調査・分析を行った。 2024 年度 (2024 年 4 月~ 2025 年 3 月 ) に発生した「喫茶店」の倒産 ( 負債 1000 万円以上、法的整理 ) は 2 月までに 66 件発生しており、年度累計でも 2018 年度の 73 件を上回り過去最多を更新する可能性がある。なお、倒産した喫茶店のうち 8 割以上が資本金 1000 万円未満の中小零細店だった。
足元では、カフェの需要は徐々に回復している。家計調査などを基に 1 世帯 ( 二人以上 ) のコーヒー「購入杯数」を推計すると、 24 年度 (1 月まで ) は 1 ヶ月当たり平均 1.8 杯となり、コロナ禍前の水準に回復した。こうした状況にも関わらず、喫茶店の倒産が相次ぐ背景には、原材料価格に加え、人件費など店舗運営コストの上昇が大きく影響した。 2023 年度の喫茶店における損益状況をみると 4 割が赤字となったほか、「減益」を含めた「業績悪化」の割合は 7 割にのぼり、過去最大だったコロナ禍の 2020 年度 (82.6 % ) に次ぐ規模となった。小麦粉や乳製品のほか、特にコーヒー豆の大幅な仕入価格の上昇が喫茶店の経営を圧迫している。国内に多く流通しているアラビカ種の価格は、 1 ドル 150 円台で推移した円安を背景に 2024 年度平均で 1 キロ 900 円を超え、前年度から 1.4 倍、コロナ禍の 2020 年度に比べると 2.5 倍に急騰した。コーヒー豆以外にも電気・ガス代、アルバイトなどの人件費といったコストに加え、都市部ではテナント料なども上昇しており、喫茶店のコスト環境は厳しさを増している。
加えて、コーヒー 1 杯への価格転嫁は十分に進まず、利益を十分に確保しづらい状況が続いている。もともと、喫茶店事業は客単価が低く、回転率も他業態に比べて高くない事業環境に加え、昨今は 1 杯 100 円台後半で提供する安価なコンビニコーヒーや、ハイペースでの出店で攻勢をかける大型チェーン、周辺のカフェとの競合も激化している。昨今の物価高で消費者の節約志向が高まり、同業他店との競争も激化するなかで大幅な値上げがより難しくなっていることも、物価高に耐え切れなくなった中小零細店の倒産が増加した要因となっている。
他方、高級コーヒーやスペシャルティコーヒーの需要を取り込み成長する喫茶店もあるほか、ブランド力のある店舗やオンライン販売では一定の売上を維持したケースもある。コーヒー 1 杯へのこだわりといった、他店やチェーン店との違いをどこまで訴求できるかが重要となる。
記事配信・制作協力/外食ドットビズ
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