熊本城復興応援缶

地震の記憶が風化しないよう、全国に発信をしています。熊本城総合事務所 主任主事 鈴木 小百合さん

本日はよろしくお願いします。
最初に鈴木さんの自己紹介からお願いします。

令和3年4月から熊本城総合事務所に配属になりました。私は、「復興城主」をはじめとした熊本城の寄附に関することを担当しています。寄附管理等を通して、熊本城の復旧が円滑に進むよう業務を行っています。平成28年熊本地震以降、熊本城の復旧・復興のためにと多くの方々から寄附をいただいております。ただ、地震から7年が経過しているので、熊本地震の記憶が風化しないよう、寄附制度の周知とともに、熊本城の復旧にはまだ時間がかかることを全国の皆様に積極的に発信をしています。

熊本城への想いなどお話しいただけますか?

私は熊本出身で、熊本城は学校の遠足で行くくらい身近な存在でした。
平成28年熊本地震で熊本城は甚大な被害を受けましたが、私自身も実家が被災しました。実家への移動中、熊本のシンボルでもある天守閣や石垣が崩れてしまったのを車窓から見て、地震からの復旧はとても長いものになるのではないか、当たり前の日常が戻ってくるのだろうかと考えたことを憶えています。現在、業務を通して熊本城が復旧していく様子を間近で見れることが励みになっています。

2月にはコロナの影響で過去2回中止されていた熊本城マラソンが3年ぶりに開催されましたね。平時に戻りつつあるということと思いますが、いかがでしょうか。

現在、城内は海外からの観光客や修学旅行生でにぎわっており、入城者数がコロナ前に迫る勢いの中、熊本城マラソンが開催されました。 私はゴール地点である熊本城内で解説パネルとともに熊本城の復旧状況を紹介していました。ランナーや応援の皆様でにぎわう様子を見て 熊本城総合事務所の職員として熊本城マラソンに携われたことを光栄に思いました。

昨年11月に、熊本城全体の復旧完了が当初計画から15年遅れの2052年度になるという見通しが市長から示されました。復旧される石垣の巨大な石の数が1日に3つということもあるほど大変な作業と伺っております。

熊本城は文化財であるため、多くの有識者の方と検討を重ね、建築当時の工法や素材を可能な限り使用して復旧しています。特に、石垣は、地震前の状態に積み返さなければならないため、写真などから石が積んであった場所を特定し、一つ一つ積み直していくという作業を繰り返していくこととなります。計画の策定から今年度で5年目、重要文化財建造物で第一号となる長塀の復旧や、天守閣の完全復旧・内部公開と、これまでは計画に沿った進捗で進んでいます。しかし、これまでの5年間を振り返ると、当初想定できなかった課題が見えてきました。具体的には、被災した石垣などの復旧方法の検討における文化財の価値を損なわないための調査・分析等に要する時間の長期化、また今後の事業量にかなう人材の確保などです。そこで、このような課題を踏まえたうえで、計画を検証した結果、完全復旧まで35年、2052年度となる見通しであることを先日市長が発表したところです。

「第三の天守」とも呼ばれる国指定重要文化財・宇土櫓が、昨年10月から解体保存工事に入り今後10年程度その姿を見ることが出来なくなるとのことですね。

宇土櫓は、築城当時からの姿を遺す3層5階・地下1階の多層櫓です。熊本地震により倒壊は免れたものの建物全体が傾き、櫓内部も土壁がはがれるなどの被害を受けました。昨年の10月よりいよいよ五階櫓の解体保存工事が始まりましたが、まずは、今年中に工事中の風雨から櫓の部材を守るため、櫓周囲に鉄骨で素屋根という覆屋を組み立てていきます。 その後、2年かけて櫓の解体を行っていきます。工事中は櫓全体が素屋根に覆われますが、天守閣側からはネットを通して工事の様子を見ることができます。
現状の宇土櫓を見ることができるのはあと少しの期間ですので、しっかりと目に焼き付けるとともに10年後に復旧した姿をお客様に見ていただけるよう、復旧業務にしっかり取り組みたいと思います。

本日は有難うございました。では最後に一言お願いします。

熊本城の復旧はこれからも続いていきますが、ぜひ実際に来城して現在の状況を直接見ていただきたいと思います。そして、皆様の期待に応えられるよう業務に精一杯取り組んでいきたいと思います。ありがとうございました。

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