ビールの新しいカタチ、缶ビールの普及へ

ビールの新しいカタチ、缶ビールの普及へ

缶ビールは1935年アメリカで発売されたのがはじまり。サッポロビールは、1959年に缶ビールを発売しました。有名デザイナーを起用した斬新なデザインは評判になりましたが、初期の缶ビールに対しては品質へのマイナスイメージや、缶切りで開ける扱いにくさなどで好評とはなりませんでした。しかし、缶の形状の見直しや自販機の普及により缶ビールは徐々に浸透。缶ビール化率は発売以来10年以上も1~2%でしたが、現在は70%まで上昇しています。

アメリカで生まれた缶ビール

コーントップ型缶ビール
コーントップ型缶ビール

缶ビールは1935年(昭和10)、アメリカで初めて発売されました。当時はコーントップ型と呼ばれる王冠を用いた缶でした。同じ頃に、サッポロビールの前身、大日本麦酒も発売を検討していたという記録が残されています。結果的には、特殊な臭いがあるなど、びんビールに比べて品質面で問題があったため商品化には至りませんでした。

缶入りサッポロビールを発売

缶ビール発売当時のポスター
缶ビール発売当時のポスター

1959年(昭和34)、サッポロビールが缶ビールを発売。現在主流になっているアルミ缶ではなく、スチール缶でした。しかも缶底と缶胴が一帯となっているツーピース缶ではなく、缶蓋・缶底・缶胴と3つのパーツからなるスリーピース缶で、飲むときは缶切りで2ヵ所に切り込みを入れるという手間のかかる代物でした。

有名デザイナーを起用した斬新なデザインが評判に

缶切りで開ける缶ビール
缶切りで開ける缶ビール

缶のデザインには、アメリカの工業デザイナーとして有名なウォルター・ランドー氏の作品を採用。ランドー氏が日本で手がけた最初の仕事でもありました。デザイン料も一流で、当時、大卒の初任給が16,000円ほどであった時代に、なんと6,500ドル(234万円)という大変高額なフィーでした。

マイナスイメージで難航した初期の缶ビール

缶ビール充填機
缶ビール充填機

初期の缶ビールに対する評価は、缶の臭いがする、びんビールより風味が劣る、といった厳しいものでした。実際には、びんビールと遜色ない品質なのですが、マイナスイメージが先行してしまっていました。また、取扱いに不馴れなため缶切りで開けるときに噴き出してしまうこともあったようで、好評とは言いがたいものでした。

缶の進化や自販機の普及で、缶ビール化率70%

プルタブ缶発売当初のポスター
プルタブ缶発売当初のポスター

サッポロビールは1965年(昭和40)にプルタブを用いた缶ビールを発売。缶蓋はアルミとなりましたが、缶底と缶胴は旧来のスチールのままでした。1972年、ツーピースのオールアルミ缶へ変更となり、この頃から、自販機の普及もあって缶ビールは浸透していきます。 現在のステイオンタブに移行したのは1990年(平成2)でした。ビール容器に占める缶化率は、発売から10年以上も1~2%と低迷していましたが、今では70%ほどまで上昇しています。

省資源化への積極的な取り組み

缶蓋の縮小化
缶蓋の縮小化

サッポロは、環境に配慮した容器の省資源化にも取り組んでいます。2007年より開始したアルミ缶製品の上面口径の約2mm縮小化は、2009年春にすべての工場で完了しました。これにより、350ml缶1本当たりのアルミ使用量を1.9%削減でき、全体では、2006年比で年間約540tのアルミが削減できます。