アメリカで知名度が低かったサッポロ

アメリカのビール市場では12オンス(355ml)の小びんと缶が主力で、日本からの輸出ビールも12オンスびんが90%以上を占めていました。日本製ビールの小売価格はアメリカ製のビールの1.5倍ほど。販売先は日本食レストランがメインでした。アメリカでのサッポロの知名度は低く、他の日本製ビールとの競争関係でも第3位に甘んじていました。
それは配達ミスからはじまった
LA・ニューポートビーチ、1980(昭和55)年秋。新規開店した寿司バーから、サッポロラガーの小びん10ケースの注文が特約店に入りました。ところが、なにを勘違いしたのか、ドライバーはサッポロびん生の大びんを配達してしまったのです。店主はカンカン。でも、お客からサッポロの指名があり、恐る恐るびん生を出しました。
珍しいビールからうまいビール

最初の10ケースは2日で完売。駐在員が寿司バーで見たものは、お客の90%がびん生を飲んでいるのです。日本の専売店では馴染みの光景でも、数多くのブランドを扱うアメリカの飲食店では極めて不思議な光景でした。お客に話を聞くと、珍しいから飲んでみると、これがうまい。知り合いが来たんで、今、勧めていたところさ、と。
アメリカで日本製ビールシェアNo.1に


1984(昭和59)年3月に日本で発売した「サッポロカップ生」を、同年10月からアメリカでも販売開始。発売と同時にアメリカで大人気となり、「シルバーカップ」の愛称で呼ばれるようになります。その翌年の1985年、カップ生の好調にも支えられ、サッポロビールのアメリカへの輸出実績は、日本製ビールで1位となりました。
北海道限定「サッポロクラシック」

北海道限定で1985(昭和60)年6月に発売した「サッポロクラシック」は、北海道の気候・風土、そして、なによりも道内の豊富な食材の美味しさに寄り添う商品として開発しました。社内で、北海道にふさわしいビールの味とは、どんな名前がふさわしいか、など論議しました。そして生まれたのがクラシック。伝統の名をまとったこのビールは、麦芽100%の飲みごたえと苦みもほどよい爽快な切れ味の生ビールに仕上げました。