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缶ビールは1935(昭和10)年、アメリカで発売されたのが最初でした。コーントップ型と呼ばれる王冠を用いた缶でした。同じ頃、当社の前身、大日本麦酒が発売を検討していたという記録が残されています。結果的には特殊な臭いがあるなど、びんビールにくらべ品質面で問題があり商品化には至らなかったのです。
当社が缶ビールを発売したのは1959(昭和34)年8月。現在主流のアルミ缶ではなく、スチール缶でした。しかも缶底と缶胴が一帯となっているツーピース缶ではなく、缶蓋・缶底・缶胴と3つのパーツからなるスリーピース缶です。飲むときは缶切りで2ヵ所に切り込みを入れるという手間が掛かりました。
缶のデザインには、アメリカの工業デザイナーとして有名なウォルター・ランドー氏の作品を採用しました。ランドー氏が手がけた日本で最初の仕事です。デザイン料も一流で、なんと6,500ドル(234万円、1ドル360円)。当時、大卒の初任給が16,000円ほどの時代に、いかに高額なフィーだったことでしょう。
1缶(350ml)75円の自信作ではありましたが、初期の缶ビールに対する評価は厳しいものがありました。缶の臭いがする、とか、びんビールより風味が劣る、というものでした。びんビールと比較しても品質は遜色ないのですが、マイナスイメージが先行してしまったようです。味ばかりではなく、取扱いに不馴れなため缶切りで開けるときに噴き出してしまうこともあってか、好評とは言い難かったようです。
当社では1965(昭和40)年にプルタブを用いた缶ビールを発売。缶蓋はアルミとなりましたが、缶底と缶胴は旧来のスチールでした。ツーピースのオールアルミ缶への変更は1972年。この頃から、自販機の普及もあり缶ビールは浸透していきます。 現在のステイオンタブに移行したのは1990年(平成2)からです。ビール容器に占める缶化率は、発売から10年以上も1~2%と低迷していましたが、今では70%以上にまで上昇しています。
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